Slow and unsteady ・・オペはなかなか,うまくいかないなぁ・・・ 

今年のテーマは手術
水曜日は,駒井式血腫吸引術.7割の血腫はとれていた.
  以前はターゲットを2か所決めて吸引していた.
  今回は一か所だけにしたら,やはりターゲットポイントから遠いところは
  残ってしまった.
  まあ,2-3cmの血腫塊になれば手術しなくても良い程度なので
     問題はない.しかし,もう少し減らしたかった.
     やりすぎは危険だが・・・

木曜日は,大きな中大脳動脈動脈瘤と前交通動脈瘤の二つのクリッピング
     MEPのモニタリングは最後まで変化なし.
     8mm程度の大きさだったので,dome clipingして,次にネックにL字型をかけて,
     反対側からもう一つかけた.針でついてみると血液がでてきた.
     それを後回しにしてもうひとつクリップをかけた.
     問題点は,前頭葉と側頭葉の間を多くの静脈がわたっていること.
     その処置の仕方.出血の際の血液の下方へのタレこみ防止の仕方
     解決すべき点が多い.術後経過はまったく問題ないが・・・

金曜日は脳ドックが終わるころ,慢性硬膜下血腫の増悪で夕方から緊急で.
    いままで500以上はやってきた.初めて起きたことがあった.
    高齢者なら硬膜と頭蓋骨は癒着している.
    骨が薄かった.それなのに穿孔した際,
    硬膜が下に落ちて,骨と硬膜がはがれて,硬膜外から静脈性の大量の出血.
    穿孔部位を広げて,4か所で釣りあげて止血できた.
    そのあとは慢性硬膜下血腫の処置.
    手術直後のCTでは硬膜外血腫は3mm程度の厚さで広さも穿孔部位周囲の3cm程度であったので
    ことなきを得た.
    去年は,1年の初めの手術が慢性硬膜下血腫で,
           年末最後の手術も慢性硬膜下血腫であった.
           脳外科の手術は,
     「慢性硬膜下血腫にはじまり,慢性硬膜下血腫に終わる」かも...

土曜日は,金曜日が当直で,当直も終わる土曜の朝4時に来た,くも膜下出血の患者さん.
    脳動脈瘤が5個もある. どれが破裂したものか?
    予測がはずれたら,他の部位の開頭が必要.
    まあ,同側からできる4個を7時間以上かけてクリップした.
    破裂していたのは上の端の動脈瘤であった.
    脳幹周囲まで血腫はひろがっているのに・・・
    脳もカンカンにはれていた.
    当直で眠れず,朝7時20分に寝て,8時の目覚ましでおきて,
    12時から手術が始まって帰宅が夜の22時に過ぎていた.
    40分の睡眠で,良くできたと思う.
   一体,どのクリップを使ったかの記憶がない.記録をみて手術記録をかかないと・・・
    Key hokeを最上端にする.
    未破裂動脈瘤の手術が多かったが,やはりSAHは違う.

今年は,「手術」がテーマで生活しているが,
    以前は「基本的なことをおぼえて,実行」するレベルで止まっていた.
    救急の世界に行っていたので仕方がない.
    今は,脳外科の手術のnext stageに向けての遅まきながらのブラッシュアップである.
    
    手術用顕微鏡のフットスウィッチをなんとかうまく使いたいが,
    いつも足が攣りそうになる.

    年取ってもチャレンジさせてもらえる環境,手術させていただく患者さんに
    感謝する気持ちが出てきている.
    今までとは一つ違う心持ちである.

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