1)復帰する場所,立場,環境の目標の違い
以前は,医療とは
「病人,けが人を治療して,社会復帰させるもの.
死亡は医療の敗北」と言う時代があった.
これは,1980年代から2005年ぐらいまで.
今は「少しでも良くして,
もとの施設に戻れるようにする」が目的になっている.
「グループホームには,これでは戻れないから,
次の施設,療養型を早急に探してください」と
地域連携室,MSWにすぐに相談する毎日である.
患者群が高齢者なので,
「社会でバリバリ働いていたのが,
治療して良くなって元に戻る」状況ではない.
外来は,子供の泣き声で一杯だった頃もあったが,今は,
押し車を押した高齢者達の集まりである.
2)医療と介護が融合
キュアからケアへ
日本では2000年,平成12年にできた介護保険制度.
ドイツで1995年にできた介護保険をまねして作ったもの.
要は,医療だけでは,世界が回らなくなったこと.
世界中が「超高齢社会」「多死社会」になったこと.
人類が経験したことのない状態に到達した以上,
高齢化した人をどうするかが,世界中の問題.
今は,医療と介護で,どうやって排便,排尿を維持しながら,
人間らしく,最後を迎えることができるか?
それにつきる.
若い人が患者になることは,ほとんどない.
健康に良い生活習慣を子供の頃から教えられた若者は,
非常に健康なので,「本当の,注意してもどうしようもない病気」
意外には,なかなかならない.
車も頑丈になって,単純な死亡者は減った.
医療から介護へと必要とされる資源はどんどん流れて行っている.
医療から介護の波は,もう止められない.
これからは「医療」よりも「介護」に大量の財源,人材が投入される.
時代は,大きく変わった.