医師がどんな仕事に使うのか?
ITが発達して
いつでもどこでも仕事ができるというのが,
今のはやり.
医師がどんな仕事に使えるのか?
1)電子カルテをアイパッドで閲覧
電子カルテは普及した.
しかし,どこでも,それを見られるようにしては大変なことになる.
電子カルテは,ソフトの集まりである.
自分のパスワードや指紋認証の個人特定が厳しいノートパソコンを医師全員に手渡すか?
それで,サーバーにアクセスできるようにすれば出張先からでも,
電子カルテを開くことができる.
血圧の変動,発熱などは見ることができる.
それは,カルテ,書類などの個人情報を外に持ち出すことになるので,
おそらく,ダメである.
2)スケジュール管理?
そんなもののために,アイパッドを持ち歩けない.
手帳で充分である.
外来,手術室,病棟などに持ち歩いているうちに壊すか
なくすであろう.
3)メールの返事書き
ブラックベリーなら,一日200件のメールがきてもどこでも
返事ができて,ロスタイムが無いなどと書いてある.
医師で患者をみて,手術をするタイプの医師が,1日200件のメールがきて,
すぐに返事を書く毎日を送っていることがあるか???
自分は,仕事のメールが2,3日に1件,
院内の会議の日程,内容のメールが一日1件
個人的なショッピングが週に1-2件程度である.
同僚の医師からの季節のあいさつのようなメールなどはない.
英語の勉強のメルマガなどをとっている人でも,
一日10件以上,メールを受け取る臨床医は1000人に一人いないと思う.
と言うか,ほぼゼロではないかと思っている.
研究生活なら世界中に仲間というかネットワークがあるから,
もっとメールをもらう医師免許を持った医師はいると思う.
毎日10件以上,内容のあるメールをもらって,返事をしている医師は
遠隔医療とか画像のやり取りが仕事の人であろう.
人間を直接みることが基本の職業では,あり得ない.
文化系の,一日に何人にも会ってというタイプの人の場合であろう.
自分が出張中,特に空港などの待ち時間,ホテルで夜にする仕事は
1)スライド作り
2)手術記録書き,
3)論文を読んで,まとめる.論文を書く.
4)学会の抄録,裁判の意見書の作成など
以外の仕事はした記憶がない.
要は,「自分が作り出すこと」が仕事なので,
「やりとり」がどこでもできることが長所の小物があっても,
自分の頭の中のものを形にするのが仕事なので,目的が異なる気がする.
大体が,医師は毎日病院の中で仕事している.
医師免許を持っているからと言って
どこでも,
すなわち公園,飛行場,飲み屋さんなどで
患者を診察してよいことには
なっていないと思う.
どこかで患者をみて,
その人が保険証をアイパッドにかざしてもらえば,
こちらが薬の処方箋を,
近くの薬局にメールで飛ばすようなことはできない.
一番,現実的なのは,
出張先から病院のPCにログインして
処方漏れの薬の処方をするぐらいではないか?
しかし,処方,点滴などは出張の前なら注意して出すであろう.
患者が急変すれば,留守を預かっている医師たちが対応するのが基本で,
そうでないと,医師の出張は成り立たない.
自分はノート型も10.4(1台)から12.1(3台),もう少し大きいもの1台
と5台は使ってきた.昔のマックは重かった.
今はレッツノートの12.1型であるが,まあ,それで困ることはない.
それらは「作り出す道具」である.
アイパッドは,ほしいけど使えないと思っている.
画面をみて,文字を大きくできて,辞書代わりに使えて,
当直の時,病棟で使っても役立つとか話を聞いたが,
確かに,アイパッドは携帯電話の大きい版というところがあるので,
ネットもメールも見えるが,それがそんなに病院の中で大事か?
なんか,大塚薬品が全国のMRに一台ずつ配ると聞いたが,
「同じ薬」の説明を,各MRが,各地でして回るには,
アイパッドは良いであろう.
個人情報でもないし.
今までの小型ノートパソコンがさらに薄くなったところか?
要は,アウトプットとして使うということである.
それと外に出ているので,メールのやり取りができれば,
移動の予定などがわかり,楽である.
要は,外で移動,アウトプット,常に連絡可能がポイントであろう.
一日中,手術室で手術をしている外科医がアイパッドを手術中に
見ることはないと断言できる.
ましてや,手術中に手を一時的におろしてメールの返事を
書くことは100%ない.
「中で」「ノンストップ」で「ほかの用事をしない」が条件の
人には,不要であるとわかる.
現在ある,クリパスや手術の説明をアイパッドに入れておいて,
スライドショー見たいに患者,家族に説明するのなら,
役立つかもと思った.
しかし,その場所は,間違いなく病院内である.
「交差点の信号の待ち時間の間にも仕事がこなせる」
などと同等の仕事の内容ではない.
患者の自宅にメールで手術法,合併症など送ることがあるか???
「電話再診」は保険点数がとれるが,
「メール」は認められていない.
まぁ,誰かがもう少し,活用法を広めてから,
アイパッドは買うかどうか考えよう.