文字通りのレジデントで,毎日へろへろで,
アパートに帰る暇もなかったが
それなりに楽しく生活していた.
アパートの隣の男の人が出て行った.
自分は一階で,一番端で,
目の前の道路沿いに白い柵があり,
自分のベッドを置いた部屋から
窓をあけて,降りて1mぐらいのセメントがあって,
その先が柵である.
ある朝,驚いた,
自分の部屋の道沿いの柵に
蒲団がほしてある.
なんで?
となりを見ると,洗濯物がいっぱいほしてある.
人の部屋の前まで蒲団を干すなんて.
その洗濯物から,新しく人が入って
それは,若い女性とわかった.
基本的な白い下着を平気で干している.
まあ,そのうち気がつくだろう.
当時は,今よりは,牧歌的であったのか,
その女性が,無防備すぎるのか.
まあ,気にしないでいた.
隣の人も平気で洗濯物を干し続けていた.
それから,半年ぐらいになり,
突然,気が付いた.
下着が,色も,形も,徐々に変わっていた
ことに.
自分はまったく顔も合わせたことも無かった.
ある日,隣のへやから男性の声が聞こえた.
隣の住人よりも,その男性を先に
偶然,顔を合わせたが,若くで純朴そうで,
遊び人にはまったく見えなかった.
また,ある昼間に,隣から会話が聞こえたが,
それは,お風呂がある場所あたりだろうと
思った.
そうこうしているうちに,その女性も気がついたのか,
洗濯物は,一切,外に干すことはなくなった.
まあ,学校を卒業して,社会人になって,
純朴な女の子が恋愛して,大人の女性に
変わっていくのを,自分は見るともなしに
みていたことになる.
3年近くそのアパートにいたが,
その隣の女性本人とは,一度も,
あいさつもしたことはなかった.
自分は留学が決まり,そのアパートは
入りたいという学生さんに,ベッド,冷蔵庫など
すべて付けて部屋を譲った.
自分は,自分なりに,一生懸命,高い山を上るために,
地道な努力をしている最中で,
まったく,世間的な生活とは離れていた.
別に隣の人たちをうらやましいともなんとも
思ったりはしていなかったと思う.