年末になると,思いだすことがある.
卒業して,初めての年末,年始.
すでに,医局には,卒業した大学医局には50万円,
くじ引きで研修病院として,いくことになった新設医大,その当時まだ卒業生は一人もなし.
翌年からあった.
そこの医局からすでに30万円の借金をしながら,毎日生活をしていた.
年末,ある田舎の病院に二泊三日の当直,
そして31日に高松に帰って,そのまま,船に乗って小豆島の病院に
2日間の当直.
その当直費用というか,泊まりに行った病院からその時の医局にお金が振り込まれる.
自分も少しもらえる.
それで1年間の借金をチャラにしてくれるという医局長の話.
まあ,旅芸人みたいな感じ.
今でも高速船から見えた,夕陽のあたる瀬戸内海にカモメが浮かんでいる風景を思い出す.
31日の夕方.
自分は病院で正月.
そして,1月2日にまた高松に船で帰ってきた.
そこで,適当に歩いていると,おなかの調子が悪くなってきた.
本当に苦しくなったところで,
「おにいさん.どうした? 大丈夫?」
「おなかが痛くて」
「トイレを貸してあげる」とオジサンが,階段を上がってのトイレを貸してくれた.
自分はまったくわからず,「助かった・・・」
トイレからでると,その人が正露丸をくれた.
それを水で飲んだ.そこは,少し暗い.というか真っ暗なところがあったのは
覚えていた.
そして,カーテンを開けると,その暗かった場所は,煌々とあかりがついていた.
そこは小部屋で,なんと裸の若い女性が二人すわっていた.
両手で胸と股間を隠している.
「ついでに遊んで行かんかな?」と親切なおじさん.
「親切にトイレも借していただき,ありがとうございます.けどおなかも痛いので.」
そこで,財布から2000円だして,「ただというわけにはいかない.ありがとうございました」
と店のオジサン,若い二人の女性にお礼を言ってその店を出た.
自分はミナトから飲み屋街へのメインの道を歩いていたと判明.
疲れたので,タクシーでアパートまで帰って寝た.
医師1年目,楽しかったのか,つらかったのか.