Believe your lie. あなたの嘘を信じましょう  ???

非常に不思議な理屈がある.
勝率が1:1なら,何回勝負しても,1:1である.
しかし,20回の勝負で,11回勝つ:9回勝つの勝負の場合,
比率は1.1:0.9である.
どちらが最終的に勝つかというゲームなら,
0.9の勝率のほうへ掛ければ,報奨金は,倍では最後は元金全部なくなってしまう.

世の中には,そのようなことの結果,
1.1×1.1×1.1×・・・・・対0.9×0.9×0.9×・・・・
最後は,100:1ぐらいになるであろう.
その結果だけが表面に見えれば,何時の間にやら既定の事実になるであろう.

何が言いたいか?

自分は金曜日は朝から晩まで脳ドックの結果説明をしている.
それであるとき,週間予定表をみて驚いた.

金曜日の受診者がいつも多い.

月曜から木曜の,脳外科の外来もしない,入院患者も持たない,
救急にも対応しない,当直もしない脳ドック専任の医師の時は毎日3-4人で,

脳外科,救急患者をみて,外来を週に1日朝から晩までして,
入院患者も常に10人以上抱えて,手術も週に4件やる自分の担当日(金曜日)が
6人も入っている.

入院患者の回診にもいけない.
それなら,脳外科の担当患者数は他の脳外科だけをしている医師の
8割で良いなどはだれも言わない.
不思議に思って聞いてみた.

「他の日はMRIの予約がいっぱいで入らないので,
 金曜日に脳ドックのMRIが増える」
  という理由.

普通に聞いたら,そんなもんかなと思うが,
普通は,週末のほうが時間がとりやすい.
メインの月,火,水,木は仕事して,金曜日に脳ドック受けて
そのまま週末になれば,気が楽な.
水曜日に脳ドック受けて,木,金とフルに働くよりは
普通は金曜日に脳ドックを選ぶ人が多いと思う.
受診者の都合で金曜日が多いのだろうとこちらは思っていた.

説明された理由は違う.
「他の日がMRI枠がとりにくい」であった.

病院でも金曜日に大きな検査を入れたり,
外科医も金曜日に大手術をいれて,土日に病院に
でてきて術後管理をしたりはしない.
月から木は病院の保険診療枠のMRI予約が多いのは無理もない.

しかし,まったく変化していない1年に一回のフォローアップのMRIも多い.
それらは,いつ入れても良いのなら,大きな仕事のはいらない
金曜日に撮れば,患者本人も病院も気が楽である.

だから,金曜日が脳ドックのMRIの枠が撮れやすいのではない.

「いつのまにやら,そのようになってしまった」
「金曜日の脳ドック担当医師がそれでもやっていくのなら,
 そのままにしよう」

ということだっただろう.
自分の外来日は火曜なので,火曜日にMRI予約を入れてすぐにその後説明をしようと
していたが,金曜日に画像を撮って,次の火曜日にMRIの説明でも
困らない人はたくさんいる.
次からは,自分のフォローアップの患者は金曜日にMRIを撮ることにしよう.
そうすれば,少なくとも,火曜日のMRI枠は一つは空けてあげられる.
それで,脳ドック用の金曜日の枠を一つふさぐことができる.
まさに,一石二鳥.
(外来患者は2回来ないといけなくなるが・・・)

こちらは「エキストラ」で手伝ってあげている.
「メインの専従医師のいる日に来てください」と,
電話予約の係りが誘導すれば済んでいた話.

月から木に脳ドック受診者のMRIがいっぱい入れば,
MRI予約枠は金曜日しか空いていないのだから,
必然的に外来からのMRI予約は
金曜日に回るに決まっている.

「嘘を信じてあげられるのも,こちらに余裕があるあいだだけ」
が,今回のお話.

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