医療人は皆, 地下水脈でつながっている.

県北市の病院に赴任

自分のこころづもりは,

1)知らない人ばかりなので,自分の仕事に集中して,
  後は,もう無理に発表などはしない.
  無理をしていたときは,学会に行く前日というか
  当日の明け方まで必死にスライドに入れるデータを
  入れていた.そして新幹線の中で作成.
  もう,次の世代にまわそう.

2)知らない人ばかりなので,なにげに生活が出来る.
  見られることがない.

3)趣味が出来る場所に近いので,仕事量を減らすこと.
  そして,趣味もしよう.

4)高齢者が多いので,認知症学会に入って,地域とともに
  自分も年を取ろう.
  脳外科,救急は徐々に減らしていけそう.

印象としては,「その他大勢いの一人として,
目立たないように職場で淡々と仕事をして,
自分の世界を楽しもう」という感じ.

人口が70万の県南主要都市から
5万の県北地方都市に転勤なので,患者数も1/14に減る.
自分の仕事量も,1/14まで減るかしら?

それで,給料が減らないなら「楽勝」ではないか???
どこかに落とし穴がありそうな.

と思っていた.

答えは,やはり,「大間違い」

まず,病院に赴任して,
事務の人と,近くのというか広範囲の病院,医院を
「挨拶回り」に回った時のこと.
大袈裟ではなく,挨拶に行ったところの
1/3の院長,医師は,
自分を直接,間接に知っていたのには驚いた.

「一緒に昔働きましたね」とか,
「先生に紹介した患者さんを手術してもらいました」
など.
一緒に行った事務の人も,
「先生,顔広いですねぇーー」と驚いていた.
驚いたのは自分も同じ.

働いて1週間ぐらいして,
あるナースが,
「後輩が,先生の前の病院で今働いている.
 どんな先生か聞いた.」
他の病棟でも,別のナースが
「友達が先生の前の病院で働いている」
と声をかけてくる.

先日は,少し離れたスーパーで買い物をしていると,
「先生でないですか?」と4年前に前の病院をやめて,
地元の病院に帰っていたナースが声をかけてきた.
全くの偶然.
しかし,彼女の言うには
「先生が辞めて,そっちへ行ったと話は聞いていた.」
とのこと.

今の県北市の病院に自分が来ることは,
その地域の病院,医師,看護師にとっては,
「いったいどんな医師が赴任してくるのか?」
ある種の話題,期待であったような.

前病院の看護師達の,それぞれ独立した自分に対する発言は
全く皆同じであったみたい.
「チョー,イイ,センセー」というものであった.
なんか,その線でまとまっていた感じ.

病院,医院の医師のほうも,
「待ちに待った,すばらしい凄腕のセンセーが来てくれた」
と言う線でまとまっていた.
驚きです.大ウソです.すみません許してください.

誰がそんな間違った噂を流したのか????

最初に院内での紹介で,
「ベテランの医師」と紹介されて
驚いた.

前の病院では,「中堅から若手」のつもりであったので
医者になって初めて「ベテラン」とか「凄腕」とか言われて
驚いている.

自分的には心の中で
「いったい,どこがやねん.
 皆,知らんからそんなことを言う.」という感じ.

そんな評価,聞いたことがない.

自分の「心づもり」と大分,違う.
というか,真逆.
自分がしてきたことを,多くの医療人は見ていたということになる.
「悪いことは出来ないなぁ」というところ.

また,近隣の病院から
何人かの患者が紹介されてきているが,
話を聞くとあまりそのようなことは,無かったような.

大体が,着任初の外来の最初の端の端の
患者さんが脳脊髄液減少症だったのには笑うしか無かった.

受付も前病院の患者さんから
たくさん電話をもらっているらしい.

まあ,自分のやってきたことを
地道にこちらでもするしかない.

なんか,驚いた.
そんなに高い評価は,いずれ落ちていくでしょう.

丁寧に,落ち着いて仕事をすること.
常に下手にでること.
持ち上げられて,すぐに天狗になるようなことは
ないが,「化けの皮」はすぐにはがれるので,
まじめに多くの仕事をこなそう.

なんか「期待外れで失礼しました」ということが
無いように,さらに精進しないといけないようで,
気が少し重い.
毎日,まじめに仕事をしよう.

県北のスーパーで,自分のことを知っている元職員と
会うなんて,予想することが間違っている感じ.

皆,人はどこかでつながっているんだなぁと
毎日驚いている.

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