診断書や書類に関して進んだこと  診断書ソフト導入  2010年記録

※2010年の記録です.

今は,一人の患者さんに多くの診断書を書かないといけない.
ようやく保険会社が集まってソフトを作った.

フォーマットに電カルあるいはサマリーから医師が書いた文章を
コピペして医療秘書さんが作ってくれるようになった.

それをPC上で医師が添削して,
プリントアウトして医師がサインをすればよい.
長い時代を経て,ようやく来た.

電カル,保険会社用診断書用ソフト,
医療秘書への国からの予算などがそろって初めてできた.

自治体病院などは書類書きのための
医療秘書を雇うお金などは全くなかった.
「書類のない患者さんもいる」
「診断書は医師の責任」とかの精神論で
乗り切れないほどになった頃に
保険会社もソフトを作った.

医療崩壊の副産物ともいえる.

警察用,職場用,後遺症診断書,裁判用意見書などは,
作成用ソフトはまだ無い.

※2016年 追記
時代がどんどん,変わっていっているのがわかる.
医療が「病院内だけの問題では,解決しない」と日本政府?
あるいは,世界全体がわかってきたこと.
大昔から,江戸時代,昭和の途中までは,
施術院,病院を立てることが,
大きな医療の進歩のあかしであった.

そして,保証制度の充実の時代へ.
たとえば,生命保険,労働基準法,身障の等級設定,
労災保険,自賠責保険.要は,「社会制度」の充実.
一時は,労働災害で腕がちぎれたりは日常茶飯事の時代もあった.

日本が「お金持ち」になるにつれ,
「保険制度,保証制度」も完成していった.

しかし,医療行為にかかった日数,作業内容の証明が必要になった.
ということで,「多くの書類が必要」になるのは必然.

しかし,医学部の授業で書類の書き方のクラスは全くない.

要は,医学部の授業では習わないことで,
大変な時間を取られる作業が待っているということは,
医師になって,初めて実感する.

多い日には,自分も15枚は各種の書類を書いていた.
事務員達は,次から次へと机の上に書類を置いていって,
「これも医師の仕事」と全く疑うことが無かった.
一枚3000円から5000円を病院は徴収していた.
医師の給料は,書いても書いても同じ.
「それも含めて医師の給料」と
多くの事務,ナースは信じていた.

書く枚数が少なければ,誰も文句もいわないが,
仕事が済んで,夜中に2,3時間かけて書かないといけない
のは苦痛であった.時間外もそれらの作業にはつかなかった.

しかし,どんどん書類は増えていく.
かかないといけない書類が,減ることは,あり得ない.

もう一つの流れがでてきた.
ICT化,医療界へも電カル,遠隔診断など,
世間は,web 2.0などからSNSの時代へ.

生命保険会社も,別に会社ごと別々にする必要はない.
2007年ぐらいから,「書類も電カルに連動」する時代が来た.

電カルは,時代を変えた.
電カルになって,「医師がカルテに打ち込む文字」が
誰でも読める字になった.
それまでは,それぞれの医師の文字が全く読めない時も
あり,「なれた人がいないと解読不能」など日常茶飯事であった.
電カルには,医学辞書の入ったソフトが常駐している.
漢字も書き間違うことが無くなった.
これは,「驚異的な進歩」である.

さらに次のステップがあった.
書類に書く内容は,
「どんな症状で,いつ入院して,いつ手術をして,
良くなっていつ退院した.」
現在残っている症状は○○,△△である.」などで,
どの書類に書いても,内容は当たり前だが,
同じでないとダメである.

と言うことは,書類を書くということは,
医師がすることも,
誰かがするにしても,「電カルのコピペ」
以外の操作はない.後は「てにをは」を直すだけ.

ようやく,誰がしても同じことは,
医師がしなくても良い.
さらには,「書類書きは,医師の時間をとるが,
誰が下書きをしても,その内容は同じ」と
わかる日が来た.
後は,ソフトをつくって,「医師のかわりのヒト」
を雇ってと,事態は進んで,時代は完全にかわった.

さらに「書類で,コピペが出来るなら」
他にも「電カルのコピペ」で出来る仕事はたくさんある.
それは,「診療情報提供書」「紹介状の返事」など.
それも,「別のヒトが,医師の代わりに電カルをコピペ」
しても,最終チェックを医師がすれば,
あるいは,必要なことを付け足したりは簡単.
「無から有,ゼロから80点まで作り上げるのは大変」
しかし,「80点を95点まで上げるのは簡単」
なので,医師の仕事は激減した.
一番初期の書類書き,紹介状の返事は
「患者名,その誕生日から書き始めていた.」
それが,電カルの進歩.他のソフトの進歩で,
自動的にフォーマットに入力されている.

時代が2歩も3歩も進んだので,別の職種も生まれた.
「医療」というよりは,「健康産業」というおおきなくくりの中の
ごく一部を,医師が分担する時代が来たということ.

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