県南主要都市から,以前の自分が働いていた病院宛ての紹介状を持った患者さん
が,今の自分の働いている病院あての紹介状は持たずに来院.
交通事故後の症状が続いているので,ある疾患の検査をしてくれという依頼.
以前の病院で,自分のみていた患者群
とにかく「大変,手間がかかる患者」
「検査が大変な患者」
「他の病院で,うまく治療が出来てない患者」などは,
すべて,「じゃ,先生に御願いしましょう」
と自分のところに回されていた.
神経内科,整形外科,脳外科から回されてきていた.
院長からもどこからも,回されてきていた.
その名残で,今も,多くの患者さんが,以前の病院に
紹介状を持って受診してきている.
もう辞めて10カ月経過したが.
外からみたら,「その病院全体」が診療していると思っていると思う.
答えは「全く違います」です,
私一人の,「個人的な努力」で成り立っていたわけです.
大半の患者は,「今は診れません」と受付で断っているような.
その時に,「その医者はどこに行きましたか?」と患者とその家族は必ず聞く.
受付では「個人情報」の問題もあり,
「県北の病院に行きました」以外は教えない.
そこで,患者も調べる.ネットでしらべて,知り合いの職員に聞いてと
とにかく,探してくる.
先日,若い患者さんが来た.
診察して,説明した.
「今まで,これだけ診てくれて,原因の説明,今後の見通しなど
説明してくれたことはなかった」とのこと.
こちらは,よく聞き慣れた話ではある.
それは,「特殊な疾患も他の医師は一生に2,3人しか経験出来なくても,
,自分は1000人はみてきた」から.
それで,予測もつくようになったと言うだけの話.
自分のサブスペシャリティーであろう.
まあ,その後の質問.
「なんで,こんな田舎に逃げたんですか?」
自分が大変なので,目の前の人間に失礼にあたるか,周囲の職員がどのように感じるかなどは頭が回らないのであろう.
答えは,「あなたのような大変な患者ばかり診て,疲れたからです」
というのが理由の一つ.
他にも沢山の理由がありますが,
もう,診なくても良いと思うと気持ち的には楽.
それと同時にわかったこと.
「他の医師達」は本当に楽をしていたんだろうなとわかったということ.
まあ,救急の代表をして他の科の患者さんが急変しても,
転送の段取りなどは自分に頼んで来たりする.
たとえば,MRIを紹介されて撮りに来て急変した患者の情報提供書も,
自分がかかないといけなかった.自分の患者,仕事は後回しになる.
仕事は後へ後へと落ちていく.
他の医師は,「彼がやってくれているうちに自分の仕事をすませよう」
と定時に帰れる.
自分はルーチンの仕事が遅くなっても,それは「ルーチン」の仕事なので,
時間外も請求しにくい.そのまえに日勤帯で他の医師とは違う用時をしてもである.
不公平な職場だった.離れてみて初めてわかった.何でもできるのは罪です.
今は,「救急,急変」対応の医師が別にいる.
その分の,その医師の受け持ち患者は少ない.
自分が大勢の患者を診ているが,余分な仕事は入らない.