お勉強に行ってきた.
救急医療体制には,米国でというかTVで有名なER型とヨーロッパの集中治療型がある.
ER型は,初期診療のみに特化した部門で,時間制で働く.
これは,専門性が高いこと.主治医にはならない,病棟をみない,時間が来たら帰宅できる
などで,米国で特に,女性医師からは,高い評価を得ている.
問題点は,いつまでも続けられないこと.8時間とは言え,夜勤はつらい.
体力もいる.おそらく45歳から50歳が,無理して働ける限界年齢であろう.
日本では,そのモデルがないこと,それを続けたら,高い評価を得られ続けるということがないこと.
従来の古典的は日本での評価の高い医師像は,
「専門医になり,特殊な疾患に対して最先端の高い技術と知識を持つこと.主治医になり患者に全責任を負う」である.
そのため,学生さんや初期研修医は,救急はしてみたいが,
「若い一時期に全身をみること,急変時の対応を勉強する時期」に
限られてのERという位置づけが一般的.
ところで,救急は崩壊したというが,何が増えたから崩壊したのか?の分析がされていた.
地元のというか,自分住んでいる市の現状分析の答えは,「軽症患者の時間外受診の圧倒的な増加」であった.
要は,日本中の救急救命センター,二次,三次病院が抱えている問題とまったく同じであった.
自分の働いている病院の「救急はしんどい理由」の分析では
使える資料7年間分でみてみると,当直,祝日休日を時間外と定義してみると,
時間外受診,時間外入院患者,診療時間内救急車数は,この7年間横ばいであった.
ただ一つ増えたのは,「時間外の救急車の台数」であった.
7年間に4割増えていた.ほかの項目で40%も増加したものはない.
要は,「夜間,土日の救急車対応」が増えていた.
時間外入院患者数が増えていないのに時間外救急車が増40%増えていた.
ほかの公的な病院は,walk inもおそらくそれだけ増えているのであろう.
従来と同じ当直医師数,当院では,要は一人では,疲れるのも当たり前である.
7年前なら一晩に5台だったものが,7台に増えたとしたら,寝る時間はもうない.
翌日の仕事は,かなりつらいものになる.
答えから言うと,当院で夜間に増えた救急車は,軽症ということになる.
時間外入院が増えていないのだから間違いない.
軽症でも救急車で来る理由は,「老人の独居で便がない.施設から念のために.シングルライフで誰も病院に連れて来てくれない」
などであろう.これは,また別の分析ができると思う.
「夜中に顎が外れた20歳台男性」が遠くから救急車できたこともあった.来院して10秒で顎が入っておしまい.
救急隊員の申し送りも途中でおしまい.問題は「どうやって自宅に帰るのか? だれか連絡できますか?」であった.