ER構想の落とし所 その2

救急体制のもう一つは
日本型というか,各科の専門医が集まってその場しのぎを繰り返すものがある.
それは,時間外に軽症が殺到するという状況には対応できない.

そこで,日本でもER体制を全面的に取り入れたセンターを作ってみるのはどうか?
建物も建て替えの時期に,どうするか?
それで,○○ER構想についての説明会があった.

なぜ,こんなに,救急が大変になったのか?
訴訟,問題患者,コンビニ受診,飲酒がらみの暴言・・・・

答えは「現代社会の縮図」というものであった.昔の牧歌的な日本は消えた.

消えた以上対応しないといけない.
それで,24時間活動する社会,格差社会の今の状態,
さらに次の高齢化,少子化の時代に対しての対応方法は

多くの日赤などが実行している「軽症で来たら5000円とる.今後は生保でも取る」ではない.

それでも,必ず軽症の患者は来る.
お金と時間で,どちらが大事かなら,時間は失えば終わり,お金はまた稼ぐことができる.
二次,三次の時間外救急時間帯に,重症を見ないといけない医師の時間を取ってしまうから,
その代わり「軽症の人はお金を払え」という理屈である.

それなら,軽症の人はお金を払ってでも時間をもらうにきまっている.
そもそも,大半の患者は,通常の時間に来れないから夕方以降に来るのである.
風邪薬で,風邪を治しながら翌日も働けば,5000円払うこと以上の利益が得られる.
いっそ,会社から支給されることもあるのではないかと思う.
仕事の無い人はどうしたらよいかなどは考えていない.
仕事の無い人は,時間があるので日勤帯に来る.
忙しくても来れない人が,時間外に来るのである.お金はある.
おそらく,3000円を5000円に上げたところで同じであろう.

時代の流れに対応する,最大の対応策は,

「時間外の軽症に対応出来る体制を作る.」しかない.

中には,「夜中こそ,不安だからMRIを撮ってほしい.専門医にみてほしい」という
グループもある.それらには以前から自分の提唱していた「専門医加算」を請求すればよい.
明け方3時に専門医に来てもらうのは大変である.朝から手術も入っていることもあろう.
それは,患者が希望したものなので,無料でというわけにはいかないと思う.
ほかの人は要求していないもの以上を要求しているのであるから徴収すればよい.

問題は,ほかの,ちょっと指を切った.花粉症の薬が切れたなどの軽症であろう.
それらにER医師が24時間対応できるようにすれば,それでよい.
しかし,なかには,軽症と思っても,疾患が隠れていることがある.
それを見落とさずに,見つけたら,そこで診ることができればそこで,
だめなら三次救急に送る方針でよいと思う.

問題は,現代社会の縮図なら,もめ事も多く,感謝もされず,身体をはった,
ヤングマンズ ワールドであることであろう.

守られていることが実感できないで自分一人で戦うのは,今の若い医師,学生は
敏感で賢いので,そんな職場では働かないということ.
批判もせずに,ひっそりとそこを去るとのこと.

そこで,今のER構想のもと病院では,
「電話は全件録音」「診察室は,全室,監視カメラで監視」を行っている.
また「110番」電話は,ボタン一つでかかるようになっている.
また,警察OBの警備員も3名も雇って常駐させている.
など,「最前線の兵隊を守る」仕組みがたくさん紹介されていた.

ER医師になりたい人がでてくるだろうか?
精神科疾患を持った救急など,どのように対応するすのか?

20人以上のER医師が必要であろう.
彼らは3年で救急専門医をとれる.

わからない点
1)ER医師を3年やって救急専門医をとって,いつまでそれができるのか?
体力の問題.
2)患者は意識もない状態が多く,感謝はされない.
 医師としての達成感の問題,人からの評価,とくにほかの専門科目に歩んでいる医師からの低い評価.
3)給料は労働と責任の割に安い.

なんとなく,フリーの麻酔科の次は,フリーのER医師が増えてきそう.

まあ,今までにないシステムなので,「お金」「人材」を使って
後,3年後には移転,新築になるであろう.

落ちは,それまでは「あなたの町の,ドクター ローソン」に徹して医者がやっていくかである.

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