土曜日は午前外来,13時からは一般当直.
日曜の朝9時まで.
救急車は8台来た.まあ,何人入院したかわすれたが,
とにかく,救急のパターンは幾つかに別れる.
専門病院なので,絶対来ない疾患もある.
「急場をしのぐ」が仕事なので,昼間の
診療方法とは異なる.
条件は,「この冬一番の寒さ」
他の病院ではすでに「インフルがはやりだして
病棟を閉鎖,縮小しているところも出だした」
ということで,
どんどん断られて30km以上向こうからも結構来た.
くちぐちに「多くのところが取ってくれない」と
救急隊員が言う.
1)急に動かなくなって目を上転させたなど.
最近の救急のトレンドの第1位は,
「高齢者のてんかん発作」
脳卒中の後遺症もあれば,徹夜で囲碁を打って
など,
とにかく多い.
今日も2名運ばれてきた.
どちらも高齢者で,初発.
高齢者の場合は,初発から治療開始である.
2)失神発作
元の疾患がある場合と無い場合がある.
まあ,特殊な疾患を持っているとわかると
どこもとってくれない.
そもそも,診断をつけている大学病院自体が
受け入れてくれなかったので,
こちらに来た人が一名.
夕方5時頃,
3)パーキンソン病で肺炎併発,改善しないので,転院.
おそらく,専門外のところは,絶食で
点滴,抗生剤までは当然行うが,
パーキンソン病の薬を胃管からでもとにかく
続けないと,大変なことになることを知らない
ことが多い.それで増悪して専門病院へ.
このパターンも非常に多い.
特に週末は多い.
4)胃瘻が外れたなど.
時に,このようなことが起きる.
専門にきてもらわないと困る.
ものすごく遠方からで1時間ぐらいはかかった.
5)朝,腰椎症の痛み止めの注射をしてもらったが,
夜になっていたくなって救急搬送
最近は,変形性腰椎症,脊柱管狭窄症などは,
高齢者が多いので,当然多い.
「朝注射をしてもらって帰宅したが,
夜になってまた痛くなった」というのが,
家族の車で1名.救急車で1名来た.
どちらも高齢者.
痛み止めは,ピンキリでいくらでも
レベルは上げられる.
癌性疼痛や術後の疼痛よりは
やはり軽い.
ポイントは「一人暮らしなので一泊入院させてほしい」
答えは,冬は患者が多く,文字通り,ベッドは一杯なので,
「痛み」だけで神経症状,尿閉などがなければ,
無理であることが多い.
幾つかの薬を使って,痛みを軽減して帰宅.
6)夜中に呂律困難,実は「腰痛で動けなくなって,寒いところで
低体温」
ほとんど動かない高齢者がベッドから自分でおりて,
ある程度,移動した頃で,ぎっくり腰などになれば,
うなり声を上げる.それを聞くと「脳卒中」を
心配して,専門病院でまずMRIを撮ってもらおうと
遠くから運ばれてきた.
7)朝5時頃起きて,眼振を伴う回転性めまいと嘔吐.
このパターンは非常に多い.
午前3時から5時の救急は大抵がこの場合が多い.
大抵が,過労と寝不足,明け方で交感,副交感が
変わる時間帯である.
他にもウォークインで,明け方に来る人達が居る.
印象深いのは,
視床痛,延髄梗塞後の痛みなどの人.
朝5時半とかにくる.
彼らは,ドクターショッピングをしている.
待ち時間の少ない時間にくるが,
脳外科の専門医がそれを診る確率は極めて低い.
前日の晩に日赤でMRI撮ってもらった人が
もう一度,MRI希望などで来る.
撮影した後で「何年も前から」と本人に説明されると
驚く.
皆は「良いMRIなら原因が映し出される」と期待している.
それも待ち時間が少ない時間に撮ってほしい.
視床出血後の顔面,手のしびれ,痛みなどは,
風が当たっても痛いなど,特徴的.
しかし,内科,整形などは専門外なのでわからないという.
当たり前である.
少し悪くなると,時間外に受診,脳MRI再検したりして,
新しい病変が無いと言われて帰る.
「後遺症としてそういうものがある」と説明されることは
ほぼ無い.
「後遺症なので,完全に治るのは難しい」と説明されることもない.
そんなこんなで,今回の朝方の受診者には
まじめに説明してあげたが,どうも8年目にして
はじめて視床出血の後遺症と説明されたような.
自分の患者さんには結構居るが,まあ,
偶然でも,同じ疾患を見たことのある医師に当たるのは,
明け方に来たら,確率は0に近い.
まあ,24時間,一睡もせずに,
夕食の1時間ぐらいと,夜の2-3時ぐらいの一時間だけ
のんびりさせてもらった.
午前の脳外科の当番の外来は,
他の人の代わりにしたので,ほんの数名であった.
自分の時には,多くの予約を土曜日でも入れているので,
「皆 のんびりしているなぁ」と思った.
まあ,パターンがある.
それらを頻度順にならべた
神経救急の本があれば,役立つかも.