救急処置室の病院の中での位置,デザイン

自分の失敗を詳しく記録しておく.

これは,3月1日のお話.
3月3日から,運用開始.

まあ,設計ミス.
自分にも責任.

新しい,病院の建て増しのお話.

各地の病院を設計したプロの設計事務所.
建築は,最大手の○林組.

まあ,普通に頼んでいていても,へんな構造にはならないだろうと.
たかをくくった,自分が悪い.

救急部門は,必ず,病院の建物の端っこにできる.
当たり前であるが,救急車が入ってくるので,
端っこに出来るに決まっている.
救急車が病院全体の真ん中まで,車で入ってくるデザインは
あり得ない.

ところで,建て増しの設計図の段階で,
1)設計図をみせられた最初の時に,
救急車が入る場所があらかじめ決められていた.

それは,駐車場との関係,道路との関係など,いろいろあるが,
最初の違和感は,
「一般患者の車の駐車場への道と一部はオーバーラップしている」
ように見えたこと.
しかし,道が広いから,なんとかなるだろうと思った.
建築途中も,救急車が通る道は,小高く斜めに上がっていっていた.
一般車両の方は,段差がある,下を通るものとばかり思っていた.

実際は,高さが同じで,同じ道を入ってきて,出て行くと判明.

これも,いざ,運用開始すると,驚きの状態となった.

朝,昼などは,一般患者の車を,事務員が止めないと,
救急車が入れない.出て行けない.

また,大黒柱の間を,何回も切り返さないと
患者をおろした救急車は外にでていけない.

2)救急処置室の場所は,建物の最外側で,
外の他の部分から邪魔にならない場所,
一般人の通行などから救急車搬入が邪魔にならない場所
が,基本の基本である.

その,建物の最外側の部分を「放射線科,放射線課」が取っている.
端っこ部屋は,なんと「放射線科読影室」になっていた.
その部屋には「大きな柱」などもない.

ところで,天井があれば,必ず柱がある.

建物を支える大黒柱は,一辺が90cmである.

放射線科があらかじめ,端っこを取っていたので,
救急車の進入経路が自動的にきまる.

大黒柱は等間隔に立っている.

職員からの要望は,

1)処置室は二部屋ほしい.
二部屋に別れたら,それは,連続していないと
ナースが行ったり来たりが大変.

2)救急車の入り口とウォークインの入り口を別にしてほしい.

その結果
救急処置室のど真ん中に,90cm四方の大きな柱がある

自分も,柱があるのは,仕方がないと思っていたが,
実物をセメントの打ちっ放しの時に初めて見て,
「これは,ダメ」と印象を持った.
責任問題になるかもとも思った.
麻酔科医師は
「あの部屋では,挿管も出来ないでしょう」
と言ってきた.

その後,完成までに視察した多くの関係職員も
初めて,その部屋に入ってきた人の最初の言葉は,

「これは失敗でしょう」
「せまいし,この柱は・・・」
「いまから,すぐに次の工事にはいってもらったら?」
など,

さらに,完成してからも,
「これは,いかんでしょう」など
もう,10回以上は,面と向かって指摘をされた.

まあ,
多くの要求を聞いて,それを伝えた結果がそれで,
「部屋の中に柱が来る」といっても,
まさか,構造上の大黒柱が,救急処置室のど真ん中に
くるとは,想像でき無かった自分の責任.

読影室の真ん中に柱があっても,読影はできるが,
処置室の真ん中に柱があれば,処置は出来ないが・・・・

2月末から3月第2週ぐらいまでは,本当に
「やる気がマイナス」という状態であった.

皆が皆,「どうしてこんなになった」と驚くのを聞くのは
つらい.

さらに,2月末に
救急のライトと入り口表示の看板のデザインをもってきた.
企画課の人に見せられて,
その詳細な設計図は,「ミリ単位で,色も指定していて立派」
であるが,
そのライト付きの看板の設置場所は,
「その場所においたら,見た人がその矢印の向きなら
方向を間違うから変えてほしい」とこちらが言うと,

それは無理で,「こちらが決めれるのは,その看板を
建物に垂直方向におくか,横の道路にそって建物に
斜めに置くか」を決めてほしいとのことであった.

要は,「もののデザインのプロは,救急患者,救急車が
どちら方向から来て,どういう向きでその看板をみるかを
検討するプロ」ではないと
その時,ようやく,世間の事実に気がついたわけです.

そうなのか,「プロ」だから,まかせないと,
あるいは,意見を尊重しないと失礼にあたる
などと考えていた,自分がバカだった.

自分がバカで,世間知らずであることが
わかって,これから,
その「部屋の真ん中に大きな柱がある救急処置室」
で急患をみていかないといけない自分が情けなく,
本当に,やる気が出ないままである.

3月半ばから,後期研修医,若手医師募集の
宣伝用DVDを作ることになっているが,

その撮影クルーがあらかじめに病院を見てまわっても,
最後に入った救急処置室を一目見て,
その柱を見て,
「これは,いかんでしょう」と言われたので,

医療とは関係ない「画像関係のプロ」が見ても
おかしいものが出来たことは証明が出来た.

宣伝DVDには,「この柱が写らないようにお願いします.」
と言ったが,「画像には入り込みそうですが」とのこと.

全国の救急車が入る処置室で,
最初の処置室に「大きな柱」がある.
救命センター,救急部門など見たことが無い.

「新しく作って,これ」と言うのが,
また,イタい.

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