今回の選挙で,感じ入ったことがある.
それは,「政権交代」に問題を絞ったことであろうが,
それだけでなく「世代交代」が起きたこと.
旧時代のフレームというか,システムが変わってしまったら,
それまでの,「古いシステムの中の,新しい考えの人」が消えてしまうことが,はっきりしたこと.
選挙でいえば,「無党派」は消えた.
一時的には,無党派こそが,時代の流れの最先端であったことがあった.
地方自治,とくに県知事レベルでは,無党派こそが
「自由に意見がいえる」特権的な立場であった.
いまは,二大政党の中に埋没した.
また,大半の初当選は35-45歳の人に集約されている.
60代は消えた.重鎮で50代後半であろう.
医療制度でも,医局制度が医師供給のすべてのころは,
その学閥に対抗できる,突出したカリスマを呼んで,その人の
魅力で,医師をあつめようとする動きが時々起きていた.
しかし,2004年からの研修医制度で,医局制度自体が崩壊した.
多くのカリスマも,「古い制度の中の新しい考え方」であったので,
「新しい制度」の中では生き残れない.
それは江戸幕府末期の開明君主が,明治政府になって
廃藩置県後に生き残れなくなったのと同じである.
自分の地元の選挙結果をみた感想.
次の時代を読んで,その予想通りになり脚光を浴びた人は,
さらにもうひとつ時代がすすむと当然,「過去の人」になってしまう.
その人たちは,次の次の時代の人には合わせたりはしないし,
新しい集団も, ひとつ前の「開明的な人」を仲間に入れたりはしない.
それは,「昔を引きずっている」ことになるからである.
長年,医局制度が盤石と思っていた元の元の教授たちが,相談して
作ったのが,今の研修医制度である.
それによって,医局制度が崩壊するとは,思わなかったと思う.
そのシステムの中での思考なので,考えが及ばないのは当然である.
それはコンピューターのOSの上でソフトを作り上げるので,
まさかOS自身が劇的に変わってしまうとは思わないと同じであろう.
揺り戻しは,もちろんくる,明治初期の萩の乱,なんとかの乱などは,
医療界でもおなじで,「医師を確保」をマニフェストに掲げて
当選する市長さんなんかもいるが,
「頼み込む」先はいまだに大学医局だったりする.
今の理屈でいくと,この市長はひとつ前のシステムで動いている.
まわりは,期待しないしできない.
明治時代になって,昔の殿様に侍を派遣してくださいと
頼みにいくようなもの.
主君のため,お家のために「やせ我慢」していた武士も
「好きなように」してよい時代に,
なぜ,やせ我慢をする必要があるのか不思議に思うであろう.
もっと,もっと医療崩壊は進む.新しい時代がさらに来る予感がする.
基本の基本は「人口が減る」であろう.