えらそうな口を利く人の心理 その2

若い人で,見境なく,本人は気がつかないが,周りは
「なんで,そんなに偉そうなん???」という人がいる.

その答えは「手持ちのカードが少なく,すぐに破綻するから」と言えばよいか?
以前の後期研修医が慢性硬膜下血腫の手術をするとのことで,
遅れながらロッカー室で着替えていたら,その先生が手術場から出て来て,
「暴れて,こちらの言うことを聞かないので,手術は止めます」と言ってきた.

右の大きな慢性硬膜下血腫.すでに不穏状態になるほど脳を圧迫している.
慢性硬膜下血腫で暴れて全麻になった人も大勢いる.
大丈夫と本人が言った翌日に痙攣で運ばれてきた人も大勢いる.
それを「言うことを聞かないから,ダメ」と怒っている研修医.

この場合,「鎮静剤のさじ加減はどういう風にしたら良いか?」が,
こちらに対する適切な質問であろう.
セルシン,ソセゴンなどで,20分ぐらいで眠ってもらって,無事に手術は済んだ.

経験不足のものが,自分が経験が不足しているとわかっていないと
患者に怒鳴りあげたり,周りのスタッフに当たり散らしたりする.

技術,知識など積み上げないといけないものはたくさんある.

そして,まわりはあきれる.

時をおかずに「先生,ちゃんと若い人の教育をしてくださいね」とこちらに
苦情がくる.

その頻度が多いと,こちらも萎える.
自分もどっさりと仕事がある.

いつも,「自分は足らないところがある」と思って毎日頑張れば,
まれには,「俺も,出来る時もあるじゃない」とうれしい時もある.

それぐらいの気持ちになるには,医者になって10年目ぐらい.
あるいは,部下に教えないといけない時がくるぐらい.
あるいは,「本当にダメな医師」に出会って,どこがダメかを分析し始めた時.

何らかのきっかけで,ひとつ階段を上がる時がある.
その時,はじめて,「偉そうな口を利く人」から卒業の準備ができる.

社会的に「偉い」「上の地位」になっても「偉そうな口」を利く人がいるが,
それは,また別の心理的な病理が潜んでいる.
3歳までの育て方によるとの意見が大半である.

お山の大将にならないと不安.
さらには,常にだれかが自分の地位を狙っているとの不安
シンパを作って,「誰が自分の悪口」を言っているかを探す.
など,今までに経験した人は,ほぼ独裁者に共通の行動原理がある.
もし,そのような人が周りに出てくれば,
うっとうしいので,「逃げる」のが一番の解決法である.

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