自分は,多くの医師を見てきた.
おそらく,直接話をした医師だけでも500人は超えていると思う.
大学病院の医師,大きな国立病院の医師.大きな地方公立病院の医師.
小さな病院の医師,開業医,
働いている間に,多くの病院の医師も変わり,多くの医師を見た.
久しぶりに会う医師も,再び同じ病院で働くことになる医師もいる.
24-5歳で医師免許をもらう.
30-34歳前後で最初の専門医,あるいは研究を終えて博士号をもらう.
専門医,病院のスタッフとして働き出す.
45-50歳,トップあるいはナンバー2として働き出す.
50歳から60歳,
公の病院なら全体のナンバー1,2,3から10あたりに位置する.
問題は,それからであろう.
さらに,次の仕事をする人もいるが,
自分が思うに,各段階でドロップアウトするハードルがある.
自分が医師になって27年.
多くの医師がドロップアウトしていった.
今のシステムなら,
1)研修医の2年が修了できない.
2)専門を持ち出したら,医師になって6年の経験などの縛りがある専門医試験
3)なんとかそこまでいけば,自分の責任で主治医となる.
4)35-40歳の間に,直属の部下が来て,
それまでは「上司との関係」で悩んでいたのが,「部下との関係」でも悩みだす.
5)部下の数が増える.
50歳過ぎると,外科系は老眼などで,救急関連は体力低下で最前線から徐々に
引いていく.いわゆる,プレーヤーからマネージャー,コーチへ.
あるいはソルジャーからオフィサーへ.
しかし,基本は
1)体力は,ピークアウトしている.
不摂生はやめて,健康維持をはかるも,徐々に低下.
他にも
2)記憶力の低下
3)集中力の低下
4)忍耐力の低下
など.
それは並行して起きてくるが,年齢が上がると,立場が変わり,ある能力は不必要になり,
別の能力が必要になったりする.
しかし,医師は知識と技術集団なので,15年前の知識を説明されても周りも困る.
また,理論や雑談は立派でも,手術の下手な外科医のアドバイスは,外科系の医師は聞かない.
劣化が早い医師とそうでない医師がいる.
あるいは年齢とともに,さらに存在感を増す医師もいる可能性もある.
実際は,見たことない.老兵は死なず,消え去るのみであろうが.
劣化の早く進む医師とそうでない医師の差を考えてみた.
若い時から,各ステップをクリアして次に進むが,実際は,
ぎりぎりの医師も多い.
そして,責任を持たないといけなくなると,徐々に引き気味になる.
自分の意見はなるべく言わない.
病院の仕事中でも別のことをし出す.
時に,鋭いことも言う.昔取ったなんとやらで,時々は昔からの専門分野のことで
詳しくいうこともある.
自分は,「この人は,途中から,いつも,はじめは何の話をしていたのか分からない」
と思う医師に時々出会った.
高齢というよりは,60歳前から70歳前.
昔は,バリバリやっていたのか?????
よくわからなかったが,最近は,ある種の共通点があることがわかった.