もうひとつは,「説明」である.
説明にものすごく時間がかかる.
5人の家族に説明したら,
午後の時間は全部おわりなどはざらである.
医師が3倍のスピードで説明すれば患者と
家族が3倍のスピードで理解することは絶対ない.
ありえない.
医学部の授業で「病気の説明のしかた」
「治療方針の説明の仕方」などはない.
ひょっとすると今はあるかもしれないが,
合併症,危険性,その時はどうするというところまで
説明が出来る学生は絶対いない.
要するにしないといけない仕事が増えている.
能力は3倍あっても身体はひとつ.
先日も交通事故で後遺症が出たら,
それに対しての治療方針を聞かれたが,
出来ることをすべて行って残る症状が後遺症であるが,
あたかも「後遺症」は,医療従事者の責任かのように
平気で聞いてくる家族も多い.
おそらく,「神の手」などのマスコミのおかげで,
一定の確率で合併症,後遺症が治療にはあるという事実が
「うまい人にはなくて,後遺症がでれば,
それは行った医師の技術が低いから」と思う人がいっぱいいると思う.
非常に危険な状態で運ばれてきて,
一か八かの治療をすることはある.
それでうまくいかない時もある.
その時に「葬式代は病院が出してくれるのか?」と
聞いてくる家族がいる.丁半ばくちの世界である.
米国にいた時,オランダから来た医師と話をしていて,
おばあさんを治療してよくなって,
そのおばあさんのライン川沿いの御城をもらった教室の話.
日本人もそれぐらいの豪勢な話があればよいが.
保険料払うのも
赤ひげはなぜ,貧乏人からお金を取らずにすんだのか?
それは金持ちの殿様,武家から余計にお金を取っていたから.
往診のシステム