できることすべてをしてください。 2007年の記事

終末期医療では,最期に
「できることすべてをしてください」
と頼んでくる家族が多い。

 

最期の3日間で、保険点数で10万点こえる
患者も中にはいる。
100万円である。

 

そのうちの三割負担なら33万円必要。

世界中の国々が脳死を死と認めた背景には
医療費の問題がある。
絶対治らない状況になる人は実在する.

特に皆保険のない国では実費を払わないといけなくなる。

法的脳死になって、日本ではない国では,
「死亡診断書」がでたとする。

日本では臨床的脳死はヒトの死ではない。
法的脳死判定は移植を前提と
したときのみ使われる言葉でもあり、
無呼吸テストは行ったところで
死亡宣告にはならない。

多くの国ではこれを行って、移植の有無にかかわらず
死亡扱いにする。

その後の状態、要するに呼吸器で酸素を入れて昇圧剤で、
心臓を動かす状態は、死後の世界となる。

病気ではなく,
「死体」が家族の都合で病院にいると言う状況になる.
死亡診断書が出た後での、
ICUでの管理の費用が、健康保険には通らないことになる.
一日95000円の基本のICU室料。

それが10日間続くと仮定すると、
ほかの点滴、呼吸器管理費用などの項目も
含めれば200万円では足らない。
それは実費の請求になる。

保険診療でないので、当然である。
皆保険でない国でははじめから
この費用を死んだ後に払うことになる。
払うほうは、葬式代がなくなる。

そうなれば、もう脳死と判明した時点で
すべての治療を終了したほうが、
良いと思う家族も多いと思う.

確実に心臓が止まるのを待つまで
お金を払い続けるヒトはいない。
家につれて帰りたいが,どうするか?

心臓はまだ動いていますよ.どうしますかということになる.
それなら動いているうちにほかのヒトにどうぞ。
ということで、
結果としては,脳死臓器提供は米国で年間7000件、
日本では6件になるのではないか?と思う。

呼吸も停止してからも
「とことんやって下さい」という家族がいるが、
日本には大勢いる.
費用は日本では、心臓が止まるまで
保険が通るからこそいえる話である。

大体がマスクが一個200円、
使い捨ての清潔のガウンが1枚3000円などは、
医療従事者の大半も知らない。

点滴や薬剤の費用、特に朝夕行く点滴で、
一本9000円する脳梗塞の薬などは、
本人、家族が聞いたら驚くのではないかと思う。

患者と家族は、ある意味消費者である。
病院での業務は、間違いなく費用が発生する。

高いマンゴーやマツタケには値札がついている。
一本1万円のマツタケは高い。

それを朝夕食べるのは贅沢であろうが、脳梗塞になったとき、
救急外来でとにかく、
その薬をいって後は急いで入院手続き、そして
入院中7日間は朝夕投与。
さらに併用する薬も一本6000円を朝夕である。
午前中に15000円、午後に15000円を一週間。

健康なときには使うことのない消費である。

そして脳死から心臓死までの期間。

驚くほど費用がかかる。情報開示というのは
こういう方面のことに関して必要ではないかと思う.

「すべてをしてください」と頼む家族は,
患者が旅行できる時に温泉でも連れて行ってあげたほうが,
驚くほど安くついて満足度の高いものになるということがわかると思うが・・・.

高齢者の最期を急変と捉える考えが初めから間違っている.
自分は地元に単身赴任になったので,
何度か両親を食事にもつれていった.
そういう仕事に従事して,
このような考えを持っているのなら,
実行すべきことはしないと.

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