昨年10月に,県北市の病院に異動.
まあ,引退する先生の後釜.
トップから,「先生が来てくれて,収支がV字回復した」
とのこと.
それで,部長待遇で就職したのが,半年後には,さらに上の肩書き
がついた.
自分としての分析は,
1)売り上げに関して
(1)患者数の増加
「引退する予定の医師は救急患者などは診ない.脳外科は残りの一人がいても,
手術のこともあり,対応できる患者は半分以下になる.
戦力が二人なら倍以上の患者に対応できる」
ということで,他の科の医師も,
救急患者を取るときに「バックに脳外科がいる」と思えば,
初期対応をしている間に
脳外科医師がくるので,急患も取りやすい.
従って,脳外科患者が増える.
脳外科疾患かもしれない患者も増える.
手足が動きにくいと言われて,実は肺炎などはよくあること.
(2)DPCの点数の上昇.
意識障害などの重症度が脳外科は高い.
1.004などの点数が1.0056などにあがれば,
すべての患者に係数がかかるので,「一人頭の売り上げが高くなる」
同じ患者数でも,売り上げがあがる.
(3)10月から4月は脳外科のシーズン
いつものことだが,脳卒中は冬のもの.脳梗塞は夏にも多いが.
冬になれば,脳外科患者が増えるのは当たり前.
4月から10月と10月から翌年4月までは脳外科の売り上げの比率は,
5割増し近く,冬を挟んだ方が多い.
以上のことから,○十年間で一番売り上げ低迷して
いた状況なら,「脳外科医師は誰が行っても,V字回復」はすると思う.
問題は,さらに今からどんどん売り上げがあがるかと言うと
それは「絶対にない」と言える.ある程度の売り上げは維持できても,
人間一人が一日に出来る仕事は限界がある.
要は,100 mをどんなに急いでも3秒で走るのはむり.
二人で10秒で100m走って
合計10秒間で200m走ったと言うことになれば,
ものすごく走ったことになる.
要は,さらにもう一人来れば,V字回復は続くと思われる.
しかし,それも7対1看護とかでベッド数も上限がある.
後は,一人あたりの売り上げを上げるしか無い.
まあ,まだその段階までも到達はしていない印象.
前の病院は一人あたりのDPC係数も県内でほぼトップであったが,
どうやって一人あたりの点数を上げたら良いかを考えていた段階.
2)病院の雰囲気が明るくなった.すべての職種に良い影響を与えた(らしい).
自分からしたら,今までと特に診療態度を変えたりはしなかった.
狂った様に働く.現場百編で急変,重症のあるところ,必ず顔を出した.
さらに気さくに患者さん,他の職種の人とはお話をする.
「頭を下げるのも仕事のうち」と思っているので,そのようにしていた.
また,赴任してすぐの病院旅行で
どの人がどの職種などは一切わからなかったので,
皆と楽しく過ごせたら良いと思っていたので,まんべんなく接した.
それらが,良かったのだと思う.
また自分の外来は,今までずっと,
「他の病院からの紹介患者が多い」のも特徴のひとつ.
新しい病院では,今まで他院脳外科から「脳外科あてに」
毎回毎回外来にこれほど多くの紹介患者がくることは,
なかったとのこと.
それは,今までの自分に取っては「全くの日常茶飯事」であったが,
「他から,頼られている病院で働いている」ということは,
従来よりも,自尊心もついて自信をもって働くと思われる.
また,外への視野も他職種の人も持つようになると思う.
自分の築いてきた知名度が,ある程度はどこでも通じたということ.
まあ,今までと全く同じように働いているだけで,
「こんなに評価される」のは意外のひとこと.
立場が上になったら,また別の視点,視野を身につけるようにしよう.
なんか,昨年の10月から,人生が音を立てて変わっていっている.
よかったのか,どうなのか?
基本は「大きな成功を得たければ,過去の成功を忘れろ」というもの
があるが,自分は「過去の成功が無いので気が楽」な印象.