前の病院と今の病院の比較

スマホでみると全く意味不明になるので,レイアウトし直しました.

半年間新しい病院で働いてみた.
以前の病院は,合計12年間も働いたことになる.

そこで比較
1)以前の病院

立地:人口70万の主要都市,多数の病院が林立の激戦区.

装備:特徴的な装備はMRI台数4台 
以前の病院は,一日のMRI撮影数が80人から100人近い.
毎日毎日よくこれだけ人がいると思うぐらい.
印象としては「医療工場」という感じ.
患者さんも,
そこへ来た以上はMRIを撮ってもらって帰らないとというつもりで受診.
3時間待ちがザラであった.
それでも,その日に済むのならそうしたい人(患者?)であふれていた.
それは,ディズニー,USJに行った以上,
アトラクションに参加せずにただ歩いて見て帰るのは,
意味がないという感じに近かった.
次から次へと画像が出てくる.

昔のスーパードライが世界を制した頃の,
ビールがどんどん出てきて,
「工場直送で半日以内?にお届け」みたいなCMを思い出す.

患者層の内訳:紹介患者数が二人に一人以上でした.
それは地域医療ではなく専門病院なのでそうなっていた.

職員の内訳としては
特徴的なのは医師の構成:
医師達はある意味,
ガラパゴス化した極めて特殊な環境であった.
ベテランばかりで50歳なら「若い方」に入る.
40歳以下の割合は10%ない.     
イメージとしては,50歳代中頃が中心医師.          
院長,理事長は70歳代後半.
自分たちは当直もしないし急患もみないが,
「遠慮せずに,医師を呼んでください」と他科の医師を呼ぶように
奨励している.
初期研修医は皆無.全くいません.最も若い医師で36歳ぐらい.
内科医師はごく少数,一般外科医師はゼロ.     
麻酔科が3名,ICU 8床             
脳関係,整形外科大勢       
       
この医師の内訳を見ていると,手術や脳に特化した病院とわかる.
急変の多い脳外科は,麻酔科の常勤がいないと無理であろう.

医師の高齢化は,気持ちは若くても体力,視力,気力とついて行かない.
新しく来た医師は50才後半のオンコール当番医師を呼ぶのは
どうなのかいつも悩んでいた.

「若い頃はよく働いた」という上司達の話は「その通り」とは思うが,
それは「今は働いていない」と言うことになる.
以前の病院は野球で言えば,アメリカのヤンキース,
日本の巨人のようなもの.
他のチームの4番を引っ張ってきて,常勝軍団を目指すようなもの.
若手を育てるよりは,即戦力を取ってくるという感じ.

3年ほど前に,40歳以下の医師の比率を調べたとき,
有名な隣の市のわたくし立病院では,医師数460名(すごい数)中,
40歳以下が320名とのことで,吹っ飛ぶほど驚いた.
40歳以下の医師が320名!!! 熱気でムンムンしている印象.
地方の限界集落の人口よりも確実に多い.
まあ巨大な病院なので,まあそれは別の話.
その当時,脳外科のトップが46歳と新聞に出ていた.
以前の病院なら「一番若い脳外科医がそれぐらいの年齢」になる.

医師以外の職種の人たち:    皆若い      

看護師,放射線技師,リハビリなど,地域の,要はいなかの病院は,
地元に根ざしているので,ベテランの人たちがいる.
しかし,町中では「他にも病院はたくさんある」ので,皆移動する.
しかも,ベテランになれば延長などはなく辞める.というか,
再雇用などはしなくても,新人は入ってくる.
しかし,田舎では人手不足なので再雇用しながら,
新人,若手が入ってきてくれるのを待たないといけない.
地縁,血縁関係がたくさんある地域との違いは大きい.

これは大阪にいたときに沖縄など,びっくりするほど遠くから
たくさんの若い人たちが来ていたのでわかる.
「若者は都会を1度は目指してほしい」のが自分の本音なので,
年取ってから地元に帰れば良いだろうという気持ち.
これは単純に「町中」と「田舎」の違いの気がする.

外来患者数:すさまじい数.
      予約した人でも2時間待ちはザラ.

入院患者の点数.一人頭,7万点弱.最高点である.
高収益体制を維持している.いまのところ.

患者数が多いのは,人口比である意味当たり前.
以前の自分も一日外来をやって18時には何とか済んで,
病棟の回診して20時には帰宅して夕食.
それから病院へ出て行って8人ぐらいの返事,
今後の方針などの情報提供書を書いてまた帰っていた.
どうにもならん感じ.土日に遅れを取り戻すような毎日だった.        

立ち位置:県に11個ある地域支援病院の一つ      
     その中では一番小さい.    
     専門病院として特化      

そのほか:設立した初代が現役である.
後継者,世代交代をどうするか?
10年後には初代は死亡.
救急に力をいれる病院に「お茶室」作ってみたり,
シンボルアートを3000万円でつくってみたり,
「豊臣秀吉の最後」のような雰囲気になりつつある.
あるいは,進撃の巨人の「貴族階級」の人たちと
雇われて
「救急医療,各科の医療に心臓を捧げるように誓わされた調査兵団」
達の気持ちが離れつつある印象.
全体には「お年寄りの働く病院」という雰囲気が出てきている.

2)現在の病院    

装備も部屋も,ごく普通.MRIも1台.それでも予約はスカスカ.
お茶室を作る余裕も「大きなシンボルアート」も購入できる資金はない.
僻地の平々凡々な作りをした病院.
現病院は,地域医療という名の僻地医療の一部を担っている.

地域医療の中核病院地域医療の
研修病院としての評価は県で1-2位あたり.

医師の構成と年齢層:
トップが60歳前半.
院長,理事長がバリバリ当直をしている.
現在の病院は,平均年齢としては45歳程度.

以前の病院は平均55歳程度.
10歳から15歳は若い. 

すでに世代交代は終了.初代はなくなり,
今の体制は10年間は続きそうな.
若手医師も多い.
驚きは,本物の初期研修医がいる.
地域枠の後期研修医も4月から赴任.
内科,一般外科が充実.
麻酔科常勤がいない.ICUなし.整形外科1名のみ
また地域医療をしたい若手医師もはいってくる.
学生実習もあるので,医学部の学生さんも,
毎月,毎週入れ替わり,入ってきて,いつも若い人がいる.

全体の印象としては,医師の年齢は,今の病院が15歳は若い.
内科,外科の充実した,「地域の一般的な総合病院」の印象.
イメージとしては,一世代前の日本の病院.
当直医師も若い.若い人もいるが,ベテランもいる.

患者数と構成:
2,3日前からおかしいなどと受診が普通.
予約,紹介患者はあまりいない.
自分の外来で,複雑な患者が見つかれば,
以前の病院を含めて,多くの病院に紹介している.

自分は「紹介される側から,紹介する側」に移動したということ.

今の病院は,最初のうちは,あまり患者さんもこなかったが,
周辺の病院から,自分あてに毎週3名ぐらいは紹介が来だした.
自分の患者数が増える一方である.これはどこでも同じこと.

まあ,いろいろな病院で働かせてもらい,楽しい.
世界は広いが,日本国内も広い.
ましてや同じ県内でもこんなに違うなんて,
まあ地域の違い,人口の違い,
それ以上に,医師の年齢の違いが大きい.

まあ,自分が前の病院にいたときは,「その他大勢」だったのが,
今の病院では,「最高齢」の次に「おとしより」であったのには驚いた.
「ベテラン」と他の医師に紹介された.
トップからは,「ベテランでありながら,前向き」と言われて驚いた.
自分は,自分がベテランとよばれたことが,今までなかった.
50歳代後半という年齢からすると,
間違いなく,まわりからしたらベテランになると思う.
すでに,院長,教授で最終的な年齢.
会社の社長として,油ののりきった頃からピークアウトする直前ぐらいか?

年齢というのは,ある意味,「絶対的な要素」である.
「おおやけ」の組織では,次の天下りがあろうがなかろうが,
とにかく,定年がくる.
自分としては,3年早く,動くべきであったと思っている.

世の中の「年齢」というものに対する「見方」がよくわかった.

そういう意味でも,以前の病院の
「そこで働いている以上,年齢のことなど考えず,
たのしく,メダカの学校のように学び続けましょう」というのは,
竜宮城みたいなもので,「中にいる限りは年齢を忘れられる.」ということは,
ディズニーもUSJも同じこと.そこへ行けば,永遠の子供になれる.

しかし,それは「限られた建物内」だけの話.
○○委員会というのも病院内にはいっぱいあるが,
自分は「救急委員会」に入っていたので,常に外の世界を見ていた.
うすうすと気がついていた.
「皆,年をとっていく.
それを忘れたいかの様に様々のイベントを打ち続けている.」ことを.

そして外に出ると,「年齢に応じて仕事」があることが判明した.

最近,自分より3歳だけ年上の教授と電話をしていて,
「あなたと同じ年で院長をしている人は,結構いる.
その年で,他へ行くというのは,まわりがもう困る.
他の科の医師達への問題もある.」とのこと.
要は,年齢を無視して働くことは,
通常の世界では許されないということ.

ところで,最も重要な事は,自分の仕事がどう変わったか.

1)患者数

これは,この半年のデータをみてみると,
毎月10名が退院している.
以前の病院でも平均すると10名ぐらいだったと思う.
2)高額点数の患者算数.

一月10万点以上のヒトが以前の病院では
5名から7名はいたように思う.
今は,月に1名程度である.
これは耳由来のめまい,嘔吐なども脳外科でみるためと
とにかく軽症が多い.
重症はヘリコプターで各地に転送している.
された方はその日の内に全麻で手術をしている.
ということで,
入院患者の点数は7万点対5万点ぐらいの差がある.
3)今は朝は8時半から.
以前の病院は朝のカンファレンス,
症例検討会が8時からあった.
今の病院はそのようなものは一切ない.
自分で調べ物をして,勉強するタイプの自分にとっては
その方が楽.8時半までに一通り,回診は済んでしまう.
4)仕事に対する意義.
以前の病院は
「病院全体の為になることがあなたのためにもなる」
という雰囲気があった.
今は,
「自分の実績をまとめる最後の機会」と
位置づけている.空いた時間は論文を書きまくっている.
5)病院での立場
 これが大きく異なっている.年齢層が違うので,
自分の今の立ち位置は「ベテランの医師であり,指導者であり,病院全体のリーダー」である.
様にみなされていること.
以前は,「中堅どころで,最前線で戦ってもらう」という感じ・.

これは途中.

       
       
    

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