毎日,驚くことがある.
1)外来で,
60歳代の飲酒後の転倒で,中心性脊髄損傷.
両手のしびれが残った.
テニス,ゴルフが趣味.
こちらが,仕事でキーボードの打ち過ぎで,
右の手首に湿布薬を貼っていると,
「先生は休みの日にゴルフに行って
手首を痛めましたか?」と聞いてくる.
???
自分は,ゴルフはしない.
手首を痛めたのも,依頼原稿と裁判の意見書を打ちまくって,
書いたから.
その人の人生には,「依頼原稿」「裁判の意見書」など
一度も出てこないもので,想像すらできないものと納得した.
「あなたが,酒飲んで顔から転倒したから救急でこちらが
一生懸命,治療してここまでに良くなったが,
何を勘違いしているのかしらん」と不思議であった.
2)自分はCTを撮って脂肪肝であった.
それは,毎日お酒を飲んでいるからでしょうと
ナース.
自分は,全く飲まない.
毎日,帰宅しても,用事の山を片付けている.
飲み会も年に4回ぐらい.
寝不足になると空腹になり,食べてしまうので
脂肪肝になる.
その人は,アルコールが好き.
自分がお酒が好きなら,まわりの人も好きだろうと
普通は思うだろうと思った.
3)病院の宣伝ビデオに100万円かけるぐらいなら,
自分に100万円くれたら,医師を見つけてこれる.
という若手医師.
驚いた.
人格,技術ともに全く未熟で,トップはじめ,まわりの職員からの
保護のもと仕事が成り立ち,「最後の責任」をとる実力,
度量が全く完成していない医師が,
「自分が探してこれる」と,あたかも自分の働いている病院
を代表しているかのような発言をする.
皆さん,自分が「スタンダード」「中央値」「まんなか」「世界の中心」である.
毎日,毎日,
「え,え~~~ッ」と驚くことばかりである.
決して,頭がおかしいわけではない.
悪意があるわけでも無い.
「見えないもの,
自分が知らないものがあることが
わからない」
ということになる.
「この人は字が上手」
なども,「自分より」という言葉が隠れている.
「あの人はお金持ち」なども
「自分より」が基準である.
さらに,見えないものは,自分の経験の中から
判断するしか無いので,
「突拍子もない」ようなことを聞くことになる.
もちろん,違う世界のことに対しては,
自分も同じような「見方」をしているとは思う.
単純に言えば,
自分が知っていることは,知らないことの1万分の1ぐらい
であろう.
それでも,常識のある人は,
相手に対して,あるいは目の前の人に対して,
「失礼にあたる」「仰天させる」ような発言はしないものである.
自分も若いときは,似たような状況であったと思う.
「人への判断基準は下げて,自分へは出来るだけの高い目標を設定」
が正しいであろう.
まあ,人の振り見て,我が振りなんとかであろう.
毎日,飽きなくて楽しいと言えば,楽しい.