一次,二次,三次救急を診るつもりが・・・

救急をやっていた時,そして今も,ときどき感じることがある.

救急外来をやっていると,今は専門病院なのであまり感じないが,以前は感じていたものがあった.

一次,二次,三次とすべて診るをモットーに開院.

利用者との最大の意識のずれは,
救命救急センター側は,
一次,二次,三次「救急」を診るつもりで開院.

実際に受診してきたのは,時間外,夜間に
1)専門医にみてほしい.
2)実質はセカンドオピニオンを聞きたい
3)普段は祖父母を車に乗せてこれないので,土曜の夜に受診

であった.

要は,「救急」ではない人が大半を占めたこと.
これが,世間でいう「コンビニ受診」といわれるものの中身である.
急変した人はwalk inの5%もなかった.

24時間,専門医をそろえて,救急に対応するつもりの戦力が,
コンビニ受診の人たちの割り振りをすることに,「医師が対応」しないといけない
状況は,2004-2007年は想定できなかった.

日本人のライフスタイルの変化,患者側の本当のニーズとは違っていた.

また,「かかりつけ医」をその救命救急センターと多くの患者が思っていた.
その理由は「一回かかったから」であった.

彼らを責める権利はない.なぜなら,
1)かかりつけ医は開業医であることを充分に説明していない.
2)一次,二次,三次は「救急」の患者をみることであり,時間外に専門医が相談にのることではない
 不急の用事で受診しても対応はしないことを充分に説明していない.

の二点からである.

もっともっと,丁寧に説明をしてあげないと.
「赤子に言葉を覚えてもらう」つもりで
忍耐強く努力をしないとだめであろう.

新しいシステムなのだから,わからないのが普通.
「なんでもそろっているコンビニ,しかも安い」と思えば,だれでも利用する.
彼らの目にはそのように映った.

トップが「いつでも来てください.うちは医師の三交代性も実現しています」みたいな
リップサービスを外でするようでは,ダメであろう.
実際,ダメになりつつあった.日本全国だめになりつつあった.

それで急激に,「医師不足」と舵を切った.
コンビニ受診の分析,対応策も出来て来ている.

朝の5時ぐらいに「今からでもいけますけど」と患者から電話がかかってきても,
「来なくても大丈夫」とわかっていても,一生懸命にみた.
しかし,それに対して,エキストラフィーが必要になる時代が,そのうちにくる.

どうしてか? 
コンビニは定価販売であり,スーパーなどと比べてもものすごく高い.
それでも,皆コンビニを利用している.
ファミレスもタクシーも深夜料金をとっている.
便利な分,高いのは当たり前.保険診療も深夜割り増しをとっているが,
「定価,すなわち自費診療には,まだほど遠い」それに近い費用をおそらく
とるようになると思う.

救急も次の時代が,間違いなく来ていると実感している.

気力,精神力でカミカゼアタックのように,後先無く医師が燃え尽きるまで働く時代は
終わった.焼け野が原になって,終戦をむかえた.

新しい芽が,焦土の中からでているような実感がある.
次の世代におまかせします.

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