書類は書くもの、いつでも、どこでも、いつまでも
大阪にいたころの思い出:
患者さんの搬送で、2時間かかるところへ搬送が決まった。
その当時は携帯電話が出てきたころ。まだポケベルが残っていた。
往復4時間もある。そこで考えた。往復の間に書類を書いてしまおう。
書類のなかで簡単そうな「入院証明書」を8名分ほど選んだ。
そして、その当時は紙のカルテであり
、一冊にまとまった入院カルテの上に、
書いてくださいねと事務が「書類」を持ってきて机の上においてある。
それらを救急車に持ち込んで書くことにした。
カルテの院外への持ち出しは厳禁であるが、
救急車はある意味医療を行う場所であるので、よいであろうと自分なりの解釈で、
しかも退院した患者さんばかりなので、
新しくそのカルテにその日に書くということはない。
とにかく、がんばってゆれる救急車内で書いていた。
患者さんは落ち着いていて心配ない。
カーブでカルテの山が床に崩れ落ちたのを拾いながら、書いていた。
なんとかなりそう。
その時ポケベルがなり、
病院に携帯電話で電話すると、
なんとカルテを持ってきた退院患者さんが
、外来に受診してきているとのこと。
そんな予定はないはずであったが、
患者さんは薬がほしいとのこと。
ほかの先生に頼んで、救急車内で退院時処方を読み上げて、
外来カルテに写してもらい処方してもらった。
何とかかんとか書類は書いた。最も疲れたのは、
その病院について、自分よりもかなり若い卒業したてのような、
そこの2代目であろう院長がでてきて、
私はこんな患者をとるとは言っていない。
約束した医師は今日は出勤してきていないので、
そのまま帰ってほしいとのことであった。
元の病棟に電話すると、まだベッドはそのままであったので連れて帰った。
印象に残る一日であった。
なぜ大阪の人たちが「下には下がある」といつも言っているのか
実感できたので、勉強になった。
今なら電子カルテなので、できない芸当である。
それだけ書かないといけない書類は溜まるということになる。