学会・研究会発表のスライドの作り方 その2 構想の前に

スライド作りは,実際は抄録を書いているときに
すでにはじまっている.

医療関係の論文に準じて発表もされる.
それは,IMRADである.

これも知らない文化系の病院職員の発表のスライドは,
驚きであった.

発表全体が,最初のスライドから写真ばかりで文章がない.
写真の説明を全部口頭でしている.
最後の結論の文章も報告しました程度.

まさに,写真の発表会であって,
学会,研究会にて発表をするということとは
まったく異なる.

別次元のというか,まったく医学,医療とは別物の発表であった.
本人はそれのどこがおかしいのかまったく気がつかない.
周りも指摘しなかったと思われる.

病院の文化系の一般職の人には無理な話であろう.

I: Introduction
いわゆる,背景説明,「はじめに」の部分である.
  なぜ,この発表,論文が必要なのかの背景の説明である.
  これすら,せずに本題に入ると,
  聴衆は「今,自分は何を一体聞いているのか?」となってしまう.
  要は,それを行った目的である.
  Objectiveとも書いてある.
  背景説明と,今回の発表の目的を1,2枚のスライドにまとめる.

M: Methods
  方法, 
  目的のために,ある方法で,ゴールに到達できるか検討した.
  あるいは,対象Subjects とも言うが,研究対象これは人間の場合である
  Material :材料,これは動物,物などの人間以外のもの
分析方法,統計処理法などはこの部分で述べる.
  臨床なら,サンプルとなった症例数,男女別,平均年齢
  など分析の元データを出す.

R: Results
  こちらが検討した結果を出す.

And:
D: Discussion
考察  

最後に
C: Conclusion  結語
となる.
 抄録を書いているときに,すでにそれに沿って文章を書くので,
スライドも同じような作りになっていく.

この基本の基本がわかっていないナース,検査技師,放射線技師,
リハビリ療法士,一般事務職員の発表は,こちらが聞いていて,
「何が言いたくて,その発表をして,結論は何だったのか?」
不思議な感覚に陥る.
何をしたかったのかわからない発表もある.

努力不足と理解不足と,時間をかけずにやっつけ仕事ですると
周りが困る,「時間の無駄.来ないで自分の仕事をしていたほうがまし」
という発表になる.

基本の基本,
テニスなどならラケットを握って振ってみることができないレベル.
素振りもろくにできないレベルの人がコートに立つのはおかしい.

落ちがない落語を聞いて,笑えない気分になる.

まあ,病院の職員ならそれぐらいはできないと外で発表するのは,
まだ早い.

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