個人情報保護法とは異なります.
医師の守秘義務は憲法で決められています.
医師が転職したとき,
「前の病院の患者さんの画像を借りて,
学会に発表」という状況は起きる.
その時の手続きで大事なことが2点ある.
1.医療行為は契約であるが,契約するのは誰?
誤解しやすいのは
「主治医」と「患者」との契約ではないこと.
実は,医療行為は
「病院開設者」あるいは「病院の代表者」と
「患者」間で結ばれるもの.
と言うことで「主治医」はその病院の「従業員」なので,「患者」さんを一生懸命,診療したからと言って,
「病院代表者」に黙って,画像を外に持ち出すことは出来ません.
2.画像,病理のスライドなどの帰属は「個人に属する」
病院の中のサーバーに画像が入っているが,その情報は
患者さんのもので,それを病院が預かっている感じ.
要は,
「銀行に預けられた預金を,従業員が運用している」感じ.
それが,その銀行を辞めた元職員が勝手に入っていって,取っていくのは大丈夫かという問題.
「元職員」が勝手知ったる「元職場」に行って,
自分が担当していた「患者さんの画像」を持ち出すのは,顧客の銀行の預金を勝手に「元職員」が銀行頭取にだまって「運用」するような印象.
ということで,「患者さんだけの承諾」があっても,
「元担当医」「元主治医」が病院へ届け出なしで,取り出して,学会発表に使用したりするのはNGとなる.
以上のような事情があるのが,今回の職場変更でわかった.
現在働いている病院で,患者さんの画像を用いて
勤務医が症例発表するのは,医療契約の中に
入っているが,医師が転職,退職して「元勤務医」となった状態に対しては,効力がない.
「患者の許可」「病院開設者(院長,理事長)」の許可,
特に,文書による誓約書を作成して,かり出す必要がある.
そんなことを,今回の異動でお勉強しました.
詳しくは,
2016年12月,1931-1938pp
日本医師会雑誌 145,9号に書いてありました.
基本は,「離れてしまえば,適応されない」ということです.