神の手,匠の手,普通の手 その2

使える資源をピックアップしよう.

いつのまにか,脳外科の雑誌も,単行本も増えた.
手術手技関連の本も記事も本当に増えた.

それは,
(1)標準化の流れ: 各地域で多くの部分で違いがあるが,それぞれのメリット,デメリットを
           オープンに論じる時代が来た. 
(2)医局制度の崩壊: その教室ならでは皮切,道具などは,医局外で研修をしていく医師にとっては
            未知の世界である.それぞれにやり方があるが,あまりに特殊なものは
            すたれていく.
(3)学会の乱立:それぞれの分野のエキスパートのやり方が発表され,文章になる.
         それが本にもなる.

など,たくさんの理由がある.

ある程度,手術の数をこなしてからそれらを読むと,納得のいくところが多い.

最近は,手術の前には,膨大な論文,本を読み返すようにしている.

頭の中でも,体位,頭位,3点ピンのつける場所,皮切,止血
硬膜を開けて顕微鏡までと,顕微鏡になった後の解剖,脳箆の使い方,
設定の場所,脳動脈瘤なら,どの形のどの大きさのクリップをかけるか
(Sugitaの何番をどの方向から)まで検討してから,手術場に入るようにしている.
とにかく,
「手術室に入った時には,予定通りの手術ができるように」

自分は,三次元的な空間認識能力が,他の人より劣っているように以前から思うことが多々あった.
将棋はよくわかるが,囲碁は盤面を見ても,さっぱり分からない.
空間的な直観力は非常に劣る.

二次元的な解剖の組み合わせで対処するようにしているが,
そんなところまで,書いてくれている手術書はない.

大体が,以前は「手術の達人」が手術書を書いているので,
うまくなるにはどうしたらよいかなどは
達人の技を見ても,まったく不明である.

最近は,若手医師向けの手術書も増えた.「はじめての○○手術」などのタイトルの記事も多い.
ようやく,今になってそれらを読んでわかったことも多い.

それもこれも,医局での一子相伝の門外不出の技術が,医局制度の崩壊で
外にでて,一般的はやり方を,大勢の医師が模索したからであろう.

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