救急全体の差配ができることと,救急患者一人ずつを診るの違う.

 救急患者の流入経路は2系統

自分の働いている病院で,救急委員会の委員長をしているが,
各部門の,特に医師ではない部門からの苦情が多い.

医師が先頭にたって,患者をみている時は,他の職種も燃えて頑張る.
まあ,当たり前です.

専門病院では,救急は2系統ある.
一つは,1)救急隊,消防の情報センターからの救急患者の受け入れの依頼.
もう一つは2)一般病院,診療所から直接専門科の医師に相談,患者受け入れの依頼.
「脳外科の患者のことで」と他院からの電話は,外来をしている医師が受けることが多い.
それで,空いている同じ科の医師に依頼したり,その医師自身が一般外来の合間に診ることになる.

2)の場合は,請け負った「その科」の責任なので,救急外来のナースなどにも連絡はその科がする.

ところで,1)の電話を請け負っている医師の仕事は,依頼された患者を受け入れ可能かどうか,
それなら何科がみるのか? その科の医師が少し遅れるなら,どこまで自分が指示をだすか?
などが重要になる.

要は,「自分の科の疾患である,救急患者」は,その科の医師ならだれでもに近く診れる.

1)の救急を,どの科に依頼するかは,2,3秒で決めなければならないので,
知識と経験がないと「はずれる」ことがある.
あるいは自分のいる病院のように循環器科は術前検査のみに特化しており,
心カテの器械も道具もない病院に心筋梗塞が来ては困る.
以前も「めまいがする.」で運ばれた患者は心電図で脈が30なく,
Adams-Stokesと判明して,心臓病センターに送った.
「頭痛,嘔吐」で運ばれたおばあさんは「ペースメーカーのリード線の断裂」であった.

それらは見分けはつかないので,取ってしまうが,そのように救急外来で診断がついて
他院にお願いする患者は,自分の取った統計では全体の2.2%程度で一定であった.

まあ,それでも医師が一生懸命やっている分には,
コメディカルは文句もいわず,一生懸命一緒に働く.当たり前.

医師が自分は一般外来をしているからといって,救急外来に来ないときに
痙攣の患者が運ばれて,痙攣し続けていたことがあった.
それは,誰がみても,患者がむごい.
ルートを取って抗けいれん剤を静注することは,ナースもわかっているが,
医師がそこにいなければ,まったく手も足もでない.

一人の急患をみることができても,「全体のなかで使える医師を回す」のは
毎日のそれぞれの医師の予定表をみて,この時間ならだれが空いているかなど毎日,毎日,
午前,午後別に把握していないと差配人はできない.
それは,自分がソルジャーとして,働けるというのとは別の能力である.

それがわかっていない医師に限って,「救急歓迎,自分はいくらでも診るよ」
などと自分のことだけを考えて発言する.

ほんまに,毎日,苦労が絶えないなぁ・・・・・

高いところに登って,初めて見える景色がある.
人間の器は,大きさだけでなく,その形も大事である.などが
表現としては,穏やかであろう.

本音は,
「馬鹿が努力しても,それは馬鹿が努力したことであって,
 組織全体の改善とは別の話である」であろう.

来年は後継者作りが大事.

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