今の社会で求められている医療は 2007年の記録

医者はtotal life adviserですか??

  今の医療で,問題点を少し列挙すると
(1)高齢社会
   老人夫婦のみで生活,息子夫婦も娘夫婦もそれぞれが仕事.孫は大学生.
   老人夫婦のどちらかが病気になっても息子も娘も親の面倒はみれない.
   今の日本で,「体力があって,時間のある若手」は残っていない.
   長期的にも面倒はみれないしみるつもりもない.
   お見舞いには来て,多くの希望,要望を口にはする.

(2)医療費削減
   これは日本が以前より貧乏になったから.
   老人が多くなり労働人口の比率が下がればそうなるのはあたりまえ.
   日本より安い労働力が手に入るところに工場を作るのは企業ならあたりまえ.
   日本でニートが増えるのが当たり前.
   老人が増えれば医療費がかかるのは当たり前.
   たとえば獣医が使う抗生剤と人間用の抗生剤は精度が10倍は違う.
   仮に長期的に副作用が出ても,犬でも15年長生きはしない.
   人間は90年生きる人も多い.後遺症,副作用を考えると安全性は格段に求められる.
   20才台,子供に使う抗生剤と老人に使う抗生剤は同じもの.
   となると価格も同じ.公共施設,映画館などでは高齢者になれば,
   半額,無料は良く出てくる.

   抗生剤は無料で出来ますか??? ありえない.
   一度作った電車に老人が何人無料で乗っても損をすることはない.
   しかし抗生剤はどうか?,
   それと同じ理屈で手術機材も老人用だから,
   100円ショップで作ったものでも良いという理屈はいえない.
   確か90歳以上に胃瘻を作るのはイギリスでは法律違反になっていると思う.
   確認をしますが.
   日本の老健では,胃瘻が作ってないと入れないところがある.
   日本は人生の最期は経管栄養を行う国といつの間にやらなった.
   自分の病院でも点滴から経管栄養になったら
   次の病院に転院が可能と目標を立てて,話を先に進めている.
   高齢の両親が,脳出血になった60代の息子の面倒がみれないので
   なんとかここでずっと診てくれませんかと頼んでくる.
  
   救急車,ヘリなどで来る患者を診る病院では無理なので長期療養型を紹介する.
   高齢社会と医療費削減.
   5年以上前の朝日新聞の一等になった川柳に
  「老人は 死んでください 国のため」というのがあった.誰がこんな社会にしたのか? 
  
   答えは簡単.すでにフランスもドイツも人口減少に傾いた.

   この60年で平均寿命が30年延びた生き物は,地球上に人類以外存在しない.  
   地球の45億年の歴史で,そのような生き物が存在したことは無い.
   
  生物としての常識を超えた数の増殖と長寿化で,対応もうまく出来るはずがない.
  
  発展し続けたツケを払っている.
  たとえば急に増えすぎたねずみの集団はどうなるか?,
   そのような実験はすでに1960年には行われている.
   大量に増えて,エサも豊富にあげるとさらに増える.
   今の地球はその時期である.
   そこで,実験ではそれ以上はエサが無い状態にする.
   そこで幾つかのマウスに赤,緑など色を塗ってみると,
   集団と違うと言うことで,それらは攻撃を受けて殺される.
   今の「いじめ」もそのようなものではないかと考えている.
   それでも増殖してエサが足りなくなると,さらにお互いが攻撃しあう.
   適正な数まで減るのではなく,最期には急激に全体数が減ってしまう.
   最期はエサがあっても細々と一定の数のマウスが生きていると
   言う長期間の実験のビデオを見たことがある.
   要するにピークアウトした直後の状態であろう.
   うまく人口が適正の年齢の比率になって,減少することを祈るばかりである.

(3)人口の問題
  人類なら適正数に抑えられますか?
  日本も法律で90歳あるいは95歳以上は胃瘻は
  作ってはいけないと決めることができるか??
   日本人はそのような民族性を持っているか?
  自分の考えではおそらく無理であろう.
  というか誰もまだそのようなことを口にしない.
  タブーであろう.
  親がガン末期で闘病生活が長期間で苦しんでも,
  最後まで戦い抜く息子,娘さん多くみてきた.
  脳死臓器提供等には,全く関心がない.
  誰の何のための治療なのか悩むが,
  がんセンターがあるところでは,日常茶飯事の出来事であろう.

(4)治らなければ医師の責任か?

  多くの交通事故の後遺症の患者をみてきたが,
  後遺症なのだからそれは治らないことを意味すると言っても承知しない.
  後遺症の書類の日時をいつにするか聞くと,
  それまでに治るはずがないという.
  後遺症だから治らないのは当たり前.
  いつか治るという前提で話をする患者と,
  ちぎれた足が生えてくることは人間はないのに,
  それを求められてもこまる医師.
  以前,追突されて胸部のMRIを撮って正常といわれて,
  他で1年後にもう一度撮ったらヘルニアがあるといわれた.
  最初の病院を訴えたらよいのかと相談を受けた.
  訴えるのなら,後ろからぶつかってきた相手に決まっている.
  その理屈なら交通事故だけでなくどのようなことでも,
  犯罪を犯した方が,相手を傷つけても自分は訴えられず,
  病院が診断ミス,あるいは治療で治癒しなかったとして
  訴えられることになる.

  みな,何かおかしくないかと思う今日この頃です.

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