いつが忙しいですか?
時々,医療とは無関係の人から電話で,
土日はお休みですかとか,
いつが時間が取れますか?などの電話がある.
「一番忙しいのは,
金曜の夜から月曜の朝になるまでです.」
と答えている.
なぜか?
答えは「他の病院が患者を断るから」に尽きる.
他の一般病院の医師が土日に休みたい時,
どうするか?医師が一人の科も多い.
調子が悪くなりそうなら,
木曜日あたりから患者の家族に話をつけておいて,
紹介状を書いておく.
そして週末に増悪すれば,
その紹介状をつけて入院患者をこちらに「急変したのでお願いします」と職員が
電話で紹介してくる.
それでも最初のうちは,医師が救急車に同乗してきたりしていた.
途中から老健施設から連絡があり,
医師の紹介状もないまま,そのまま来る患者が大量に増えた.
聞いてみるとそれぞれの老健施設の嘱託医がそれまでは
一度は患者さんをみて紹介状を書いてこちらに来ていた.
こちらが全く断らないと判明すると,パターンが変わった.
そこの職員が嘱託医に電話をすると,
そのまま,こちらに電話をしていくようにと
指示だけ出して終わりと変わった.
老健の記録を持って,施設の人が連れてくる.
あるいは,単身赴任で土日には地元に帰る医師も多い.
そのような時は,はじめは電話なり相談なりがあったが,
今はスタッフがそのままバイトの当直医に頼んで,
全く良くわからない紹介状を書いてもらい,当院に搬送されてくる.
以上のことから,金曜の夜,土日はものすごく忙しい.
今働いている病院の大きな目的は五つあって,
週末医療の充実が5番目当たりに書いてある.
一般病院のスタッフ,医師,患者,家族も急変時にはここへと思っている.
そこから次の誤解を生まれる.
超高齢者のまったくなにもせずに様子をみるだけの患者さん,
癌のターミナルの患者さんも,
最後は「急変」するので,多くの病院は当院に搬送しようとしている.
転送されてきて数時間から数日でなくなられる患者さんも結構運ばれてくる.
それは週末と終末の両方の医療をこちらが担っていることになる.
95歳の肺炎の患者さんが,
肺炎が増悪したので今からヘリコプターで送りたいと
夜の11時に電話があったりする.
その時は「家族の希望は何か」「夜中はヘリは飛べないこと」などの説明をする.
しかし,こちらの電話の相手の医師は,
「大学からの当直医師で目の前でなくなられては面倒と思っている」
「なんでもヘリで運んだら,そこの病院に行けばヘリで搬送してくれるという
評判が得られると考えている高齢の医師」たちなので,
話はかみ合わない.
平日の夜ならその病院の本隊,
実働部隊の医師が出張ってくるので,
ここまでトンチンカンな要請はこちらにはない.
要するに,一番忙しいのは週末である.
今までは,その人たちもがんばっていただろうに,
「マル投げ文化」は医療にも入ってきている.