認知症の夫を認知症の妻が面倒をみる.
あるいは妻はまだ軽度認知障害のレベル等も多い.
認認介護 は,問題になって久しい.
その解決法は
1)地域全体で面倒をみる
2)社会資源の活用
などとにかく抽象的で,病院から地域へと
「愛のリレー」などと言われるが,
自分の受ける印象は,めんどうな問題の
家族への「丸投げの連鎖」に近い.
「地域,地域と言われて私たちも困っています.」
と,町内会連合会会長の発言を直接聞くと,
今までは考えなくてよかった問題が
津波のように押し寄せてきているのがよくわかる.
90歳以上が当たり前の時代になり,
この前,患者さんの家族に電話したら,
今ひとつわかっていない.
突然,気がついた.
娘,息子さん達も,理解力が落ちている.
さらに,わかったことがある.
今までも,100歳の脳出血の人でも,
「また元気になる」と信じていたご家族がいたが,
その患者さんの兄弟,姉妹,息子,娘,嫁さんなど
見た目は,全員おじいさん,おばあさんである.
時々,おばあさんの患者さんの「夫」と思って
病気の状況を説明していたら,息子さんであったなどは経験する.
息子さんの髪の毛は全く無いが,
患者さんである母親のほうが髪がフサフサなどは,
非常によく経験する.
自宅に電話したら,ますます話が混乱することも経験する.
来ている娘,息子,その配偶者たちが,
患者さん本人よりも,あるいは同程度に,
あるいは少しは軽度に「認知障害」がきていることもある.
認認介護は,すでに医療界では問題になっている.
しかし,面倒見る子供の世代にも認知症が来ているのは,
まだあまり話題になっていない.
今は,面倒見る下の世代にも認知症が来ている.
二世代認知症問題というのか,
家族全体認知症問題.
英語で言うと
「ケア サイド デメンチア」になるであろうか?
認知症の人を,悪く言うつもりは全くない.
どんどん,わからなくなっても責任を追求したり,
人格を攻めたりする権利は,自分にはもちろん無い.
直接的に数百人の認知症を診た.
以前「認知症になっても記憶は残る」と素人さんが
コメントしてくれていて,
「このブログの記事は間違っている.
お医者さんは言いました」と書いてきてくれていた.
そのお医者さんは,ほんとに優しい心根と
認知症を持つ家族に対する態度が共感的ですばらしい.
自分も患者,家族に説明するときは,
「人間の絶対的な存在による価値があるので,
物忘れが進もうが,サルのように暴力的でワケがわからない
妄想も人間の側面です.大事な核になる部分は,
死ぬまで崩壊しません」と説明する.
だからといって,家族の負担が減ることは無い.
確かに,軽度認知症レベルで止まる人もいれば,
2,3年で,全く家族の顔も名前もわからなくなる人もいる.
自分が書いているのは「6人ぐらいの身近な人の面倒を見た人」
の個人的な感想ではなく,今後の近未来に人類に起きる
問題と,それに対する対策.
自分の父親が認知症になっても,
「もとの性格で,良いところは消えて,
まわりが困ることだけが,強調されるのかどうしてか」など,
一般化して,みてしまう.
家族,一族の半数が認知症ということも珍しくない.
そうなると,孫の世代に問題解決を相談することになる.
どういう風にすれば,良いのやら・・・・・